竜馬伝

第二回大器晩成?
どうしようもなく行き詰る時、人は己というものを捨ててこそ
はじめて道が開ける。
なんて、ちょっと線香くさい話を思い出したが、今日の竜馬は
まさにこれ。「わしは人の気持ちがわからん」という自覚があ
ってこそ道が開けたのだ。
竜馬は唐突に江戸に行きたいなどと言い出すが、親父や兄貴に
あっさり却下。いやいやながらも堤の改修工事の采配をふるう
仕事につく。が、そこに働く農民たちは、若い竜馬の言うことを
全く聞く気がない。その上そこで働く人たちは二つのムラから
出ており、その対立があるため、喧嘩ばかりでまるで工事が
進まない。
そこで竜馬は考えた。
「みんな仲ようするには酒が一番
じゃき」

しかしこの竜馬が取った手段は、金にあかしての酒を振舞うって
いう感じをさせ、ものの見事に失敗。その上「下士など犬の糞
と同じでなんの役にもたたん」と蔑まれる。
ここらって複雑なのだけど、すごく良く分かる人間の本質であ
ろう。身近になればなるほど、憎しみはわき、「そんなにお前
らと違うわけでもないのに何でわしらが不幸にならんといかん
のか」となりやすい。それは弥太郎が竜馬に思う気持ち
もそうであろう。変えられない上士より近くのバカという人間のも
つ浅ましさであり、人間らしさがよく出ている。
しかし、竜馬はそれを感じてもよさそうなのに、まだ敏感に反応
しない。いや、どう行動したらいいかわからなかったのだろう。
反応したのは、その様子をそっと見に来ていた父であり、
その竜馬の姿を見て「自分の息子」を見つめなおし、色んなひとに
本質を聞こうとする。これは見上げたおやじさまだ。
一方のどうしようもないおやじ。これが弥太郎の父。しかしこれも
また人の一面。博打と酒にめっぽう弱く、弥太郎のために母が
ためていたヘソクリも見つけ出しあっさりオケラにする。その上
止められるのを覚悟で切腹のまねごとをしたりとまあ。でもこれも
また鬱屈した人間はどうなるかということなのであろう。
なんだかんだと坂本の家は恵まれている。少なくとも金銭面では。
さて、竜馬は、人の心がわからないのかもと気づくのは、幼馴染
の加尾が「実は竜馬が好きだった」という告白をした時。ああ、でも
前途有望なやつとの縁談がきてれば「そうか、嫁にいけばいい」と
いう男心がわからんかいな?ヒロスエ。という気はしなくもないが
まあ竜馬はあんまり考えてなかった。ただ、そこで絶望に押しつぶ
される。しかし、本当に絶望したいのは好きだった加尾@ヒロスエ
竜馬への告白現場もみて、親父に金も使われた弥太郎だとおもう
ぞ(笑)
で、冒頭に書いた「人の気持ちがわからん」になり、雨の中を
大胆に寝そべるというパフォーマンスで、やれやれ仕方ねえなと
農民が寄ってくる。きっと、「オンナに振られたらしい」という情報が
農民ネットで流れたのだろう。そう、人の心は不幸な時は寄り添い
たくなるものだ(本当か?)
まあ、しかしね、結構ベタとはいえるけど。
そしてその後の児玉「アタック」清氏の息子竜馬に対しての名演は
ナミダモンでした。「わしを納得させる理由を見つけて江戸へ行け」
と小千葉道場への推薦状を渡すとは…。