坂の上の雲

第五回留学生
苦しいまでに真っ直ぐに国家の危機というものを考え、そのためには全てを吸収
しそれを活かし、お国のための血となり肉とするために己を捧ぐ。
真之も広瀬も留学先のアメリカとロシアで兵力を使った戦いではなく、知力を尽
くした戦いをする。そして国家という組織の縛りにはないものの、その痛々しい
までの大望を秘める子規も。
ひるがえって今の世はどうだというようなことを匂わせる最後のナレには全然賛
同もできんし、彼らのごとくありたいとも思わない。そんな窮屈な生き方やらは
まっぴらだし、多分そのころの大部分の市井の人たちはもっとお気楽で何でも万
歳してる松山の人たちのごとくであったのであろう。
ただ、ここで描かれた人たちの精一杯の思い、苦悩、高揚感さらに使命感。そし
て彼らは他人にそれを転嫁することなく、己の中に秘め、その道を堂々と歩んで
いっていた。その清清しさはちゃらんぽらんでありたいと思う部分の多い私でさ
えも、心揺さぶられるものがあった。…続きは約一年後か…