滝駅

烏山線というローカル線が栃木にある。宝積寺駅から烏山駅までの
約20キロ。ほぼ一時間毎に走っている。ここには全国各地に配属さ
れているのに、関東ではあまり見られない40系という国鉄気動車
いる。

東京から割りと近いので、18きっぷ日帰りにはちょうどいい場所
にある。宇都宮の餃子もついでに食えるし(笑)。
その烏山線の終点烏山駅の一個前にあるのが今回紹介の滝駅。
龍門の滝という観光名所がすぐそばにあるからそれにちなみ「滝」と
つけられたようだ。しかしながら「滝」と堂々と名乗ったこの駅に、鉄道で
ここを訪れる人がどれだけいるのだろうか?私が訪れた日は平日だった
こともあるがリュックを背負ったご婦人も二人が降りただけ、烏山方向か
ら乗ってきたので、観光客なのかどうかは微妙。観光の入り口として
はあまりにさみしいホーム一本の無人駅である。

龍門の滝へむかい歩く。徒歩五分と書いてあるが、本当にすぐそば。
踏み切りをわたり、梅林などを横目にみながら緩やかな坂を下るとすぐ
滝の入り口。五分もかかるだろうか?江川というこの滝になる川を渡ると
公園に到着。この公園は桜の名所であり、カメラを持った方も数人居たが
残念ながらまだ五分咲き手前ぐらい、残念。
で、お目当ての滝とご対面。ゴーゴーと音が聞こえる。いいねえ。思った
よりは小さい感じだが水量が増える時期はもっと迫力があるらしい。

さてこの龍門の滝、列車と一緒に滝が撮れる珍しいアングルが得られる
ところなのである。さすがに駅名に滝とつけるだけある。
三脚も持たないド素人の私もコンパクトカメラでチャレンジ。水しぶきを軽く
浴びながら列車を待つ。時刻表と時計をチラチラみつつ準備。さあ、こい
あ、きた、うーん枝で隠れちゃうなあ。もうちょっと滝の下側から撮れば
よかったか、全景をとらえられていないし。カメラ趣味は何度も撮りにいき
ベストアングルを探していかないといいものは撮れないし、何本か見送って
こそなのだが、他に行きたいところもあるので、また滝はじっくりせめたい。

一応写真も撮ったしお昼下がりの陽を浴びながらのんびり駅まで戻る。
列車時間まであと20分。待合のベンチに一人佇み音楽を聴く。
いい日旅立ち。季節としてはちょっとずれているが、「私を待ってる人がい
る」についホロっと。黄色の花もささやかに揺れている。のんびりと列車を
待つ時間というのもいいものだ。
発車時間が近づくが一向に誰もこない。滝駅から結局私一人が乗車
降りる人もなし、まあ烏山方向からの列車だからな。ロングシートなのに
造花が飾られている。ちょっとしたアイテムが旅気分を盛り上げる。
トンネル、遠くにかすかに見える山、石造りの蔵、菜の花畑。旅気分に浸る
私の斜め前辺りに座っている女子高生二人は、お弁当をたべつつ、話を
したり、ファッション雑誌に夢中の日常を送る。これこそローカル線の旅
なんだよね。