テツマン花盛り
テツマンって略さないか(笑)。鉄道漫画が流行りなのか、
割と本屋に平積みにされている。どこに需要があるのか
わからないが…あ、ここに居たわ。
ということで鉄道漫画二編の感想をば。
「カレチ」
- 作者: 池田邦彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/12/22
- メディア: コミック
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これだった。カレチからレチチになり天下の東海道を上り
下りするのだ。という野望を秘めていた。
え、何言ってるか意味不明??。
解説すると、カレチというのは旅客扱い車掌。つまり車掌
さんですね。ついでにレチチはそのカレチを束ねる車掌長
ってこと。運転手よりも車掌にあこがれたね、ワタクシは。
結構積極的に人付き合いがしたかったのだろうか?今では
絶対イヤだな(笑)。
さて、この漫画は昭和40年代ぐらいの国鉄の華やかだった
時代のお話で、若いカレチが悪戦苦闘しながらも己の正義を
真っ直ぐに通していくという、青春ドラマ。出てくる人たち
がみんな正義の人で、お客を第一に考え鉄道という職業を誇
りに思っている*1というのがちょっと息苦しい
のだが、誇りゆえのぶつかり合いは中々に面白い。
特に面白かったのは雪の日の乗務で、列車が遅れてしまい、
接続の路線の列車を遅らせたいという主人公が先輩に「乗客
の水増し」という裏技を教わりそれを使うのだが、待ってい
る方の駅員は「遅らせるということは、他の駅で待っている
お客様の迷惑になる」という立場から、これを糾弾。さて、
どうなるのか?という話。
それぞれの「正しいと信じるもの」を頑固に守り通すという
のは中々に難しい。お客様のためというのが建前だけでなく
ぶつかれるというのは清々しさも感じる。もはや国鉄という
のは負の面で捉えられることが多いのだが、こういう男たち
もいたのかもしれないというのを思い起こさせる快作である。
「新・鉄子の旅」
- 作者: ほあしかのこ,横見浩彦,村井美樹
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: コミック
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しかも弱冠19歳*2の初連載作家というのはかなり
の冒険であろう。最初の2つの旅は「鉄子」でほぼ同じことを
やっていて、比較対象がある分余計にキビシイ。横見さん*3に対し
て容赦なく突っ込めた前作の作者キクチさんとは違い、今回の
作者ホアシ嬢はそういう行為はまだ出来ない。横見さんの強引
さに嫌々ながら自分を納得させつつ付いていくキクチスタイル
をホアシさんはどう変えていくのか?キャラという点では横見
さん編集のカミムラさん、そしてI Love Switch Back編集長も
毎回出てくるのだが、彼らの個性的な魅力がもう一つ*4伝わって
こないのは経験不足からか。と厳しいことをあげてしまったが、
今後に期待できる要素もある。
まずもう一人のレギュラーメンバー、「前鉄子」でも何度かゲ
ストに来た女優の村井さん。ソフテツ*5代表の彼女だが、時折み
せる彼女の行動はソフトなんてものじゃなく「豪快」そのもの。
彼女の存在は「新鉄子」の目玉になりそうだし、事実今のとこ
ろその存在感は横見さんをも凌駕している。この二人のキクチ
VSヨコミとは違った激突が見せ所になるか。そしてホアシさん
自身のういういしさ。キクチさんとは異なり(笑)素直で、福岡
弁が混じってくるのもラブリーポイントアップである。
話も回を重ねるごとに、記録集から物語に成長しているのも感
じられる。彼女が最後の話の決めで持ってきた「何で横見さん
は普通のオトナと違うと!?」この視点からの彼女があの横見
さんをどう料理して付き合うのか。これは意外と彼女自身の成
長物語として読む話なのかも。鉄はそれ自体が薄れてしまうか
もしれないが、これはこれでホアシ味になればと、バリまでい
かないミドル鉄な私は期待しますよ。もう横見さんは一生成長
することがないだろうからね(笑)。