テツマン花盛り

テツマンって略さないか(笑)。鉄道漫画が流行りなのか、
割と本屋に平積みにされている。どこに需要があるのか
わからないが…あ、ここに居たわ。
ということで鉄道漫画二編の感想をば。
「カレチ」

カレチ(1) (モーニング KC)

カレチ(1) (モーニング KC)

題名にまず魅かれるよね。何をかくそう私の憧れの職業が
これだった。カレチからレチチになり天下の東海道を上り
下りするのだ。という野望を秘めていた。
え、何言ってるか意味不明??。
解説すると、カレチというのは旅客扱い車掌。つまり車掌
さんですね。ついでにレチチはそのカレチを束ねる車掌長
ってこと。運転手よりも車掌にあこがれたね、ワタクシは。
結構積極的に人付き合いがしたかったのだろうか?今では
絶対イヤだな(笑)。
さて、この漫画は昭和40年代ぐらいの国鉄の華やかだった
時代のお話で、若いカレチが悪戦苦闘しながらも己の正義を
真っ直ぐに通していくという、青春ドラマ。出てくる人たち
がみんな正義の人で、お客を第一に考え鉄道という職業を誇
りに思っている*1というのがちょっと息苦しい
のだが、誇りゆえのぶつかり合いは中々に面白い。
特に面白かったのは雪の日の乗務で、列車が遅れてしまい、
接続の路線の列車を遅らせたいという主人公が先輩に「乗客
の水増し」という裏技を教わりそれを使うのだが、待ってい
る方の駅員は「遅らせるということは、他の駅で待っている
お客様の迷惑になる」という立場から、これを糾弾。さて、
どうなるのか?という話。
それぞれの「正しいと信じるもの」を頑固に守り通すという
のは中々に難しい。お客様のためというのが建前だけでなく
ぶつかれるというのは清々しさも感じる。もはや国鉄という
のは負の面で捉えられることが多いのだが、こういう男たち
もいたのかもしれないというのを思い起こさせる快作である。
「新・鉄子の旅
新・鉄子の旅 1 (IKKI COMIX)

新・鉄子の旅 1 (IKKI COMIX)

大人気漫画(なのか?)「鉄子」の続編である。作者が変更、
しかも弱冠19歳*2の初連載作家というのはかなり
の冒険であろう。最初の2つの旅は「鉄子」でほぼ同じことを
やっていて、比較対象がある分余計にキビシイ。横見さん*3に対し
て容赦なく突っ込めた前作の作者キクチさんとは違い、今回の
作者ホアシ嬢はそういう行為はまだ出来ない。横見さんの強引
さに嫌々ながら自分を納得させつつ付いていくキクチスタイル
をホアシさんはどう変えていくのか?キャラという点では横見
さん編集のカミムラさん、そしてI Love Switch Back編集長も
毎回出てくるのだが、彼らの個性的な魅力がもう一つ*4伝わって
こないのは経験不足からか。と厳しいことをあげてしまったが、
今後に期待できる要素もある。
まずもう一人のレギュラーメンバー、「前鉄子」でも何度かゲ
ストに来た女優の村井さん。ソフテツ*5代表の彼女だが、時折み
せる彼女の行動はソフトなんてものじゃなく「豪快」そのもの。
彼女の存在は「新鉄子」の目玉になりそうだし、事実今のとこ
ろその存在感は横見さんをも凌駕している。この二人のキクチ
VSヨコミとは違った激突が見せ所になるか。そしてホアシさん
自身のういういしさ。キクチさんとは異なり(笑)素直で、福岡
弁が混じってくるのもラブリーポイントアップである。
話も回を重ねるごとに、記録集から物語に成長しているのも感
じられる。彼女が最後の話の決めで持ってきた「何で横見さん
は普通のオトナと違うと!?」この視点からの彼女があの横見
さんをどう料理して付き合うのか。これは意外と彼女自身の成
長物語として読む話なのかも。鉄はそれ自体が薄れてしまうか
もしれないが、これはこれでホアシ味になればと、バリまでい
かないミドル鉄な私は期待しますよ。もう横見さんは一生成長
することがないだろうからね(笑)。

*1:一人チャランポランな若い荷物車掌の話があったが彼も見事に改心してしまう。

*2:連載中に20歳になった

*3:主役の鉄道ヲタク、案内人であるが、一般人には理解しがたい突拍子のないキツイ案ばかり出してくる女の子大好きな中年男性

*4:編集長案内によるスイッチバック巡りの駅の説明が本当に説明文になってしまっているのは少々苦しい

*5:ソフトな鉄道好き対義語バリテツ