今日の一枚「Preservation act1/キンクス」

キンクスです、イギリスを代表するバンドですが、You Really Got
Meのイメージが強い人も多い気がします。
あの曲でカッコイイ、ある意味マッチョなイメージを持つ方も
おられるでしょう。
が、彼らはかっこよさというよりも、かっこ悪さがかっこいいタイプの
バンドであるわけです、少なくとも私はそう思います。
基本はヘナチョコなので、売れるものも作るけど、正直に彼ら*1
の信条を出したものはとことん売れないということもあったようです。
で、このアルバムは売れなかったものです。
その上、同じ売れなかった部門(?)でも、再評価されている
ヴィレッジグリーン〜などと違って、あまり再評価も芳しくないようで、
6年前に投票により人気アルバムのみ紙ジャケ化されたときも、
このアルバムはそのリストからも見事にはずされています。

さてこのアルバムは前述の再評価が著しい、ヴィレッジグリーン〜*2
ベースに書かれたいわゆるロックオペラ*3で73年の作品。
緑豊かな村に便利とか儲けという論理をもちこむミスターブラック
によって村が変えられていくというストーリーです。
題名にact1というとおり、次のアルバムはact2で、続編があります。
ちなみに彼らの代表作でもある、ローラ対パワーマン、マネー・ゴー
・ラウンド組第一回戦*4は第一回戦と銘打ちながら、
二回戦がないのですが(笑)

さて、中身です。
One of Survivorsでは、ロックンロール全開のサウンド
乗せてジョニー・サンダーが再登場していますし、牧歌的な歌である
Sweet Lady GenevieveやSitting in the Midday Sunには
ヴィレッジグリーン〜の香りが、昔を懐かしむバラードWhere Are
They Now?はこの作品の前作の超名曲Celluloid Heroesにも
通づるところがあります。
6/8拍子で歌われる6分もの大作、Money&Corruptionは不安感と焦燥感
と怒りをもつ住民が、公平とかきっちりした約束をしてくれる救世主を
求める*5というどこかにどこでもあるいつも騙される
悲しき持たざるものの物語。
ただ私の一番キニナル曲は中近東風のギターが彼の登場を表すような、
Here comes Flash、ホーンとティンパニー(?)の音、そして女性コーラスが
中々チャチな味で実にキンキーで大好きだ。
また、このアルバムにはそのストーリーのダイジェスト版である、先行シングル
Preservationもボーナスで収められています。

*1:というよりソングライター兼ギター兼ボーカルのレイ・デイヴィス

*2:68年作

*3:アルバム全体がストーリーになっている

*4:英題はPart1となっている

*5:でその現れた救世主=独裁者に無茶苦茶にされる