神宮球場は…

私は神宮球場が好きだ。外苑前の駅から
ゆるやかな坂を登っていく道路。そこに並ぶ
弁当屋等の露天。健全でない人々(?)の
悪魔のささやき…。
そのプロローグを充分に堪能してから、
球場に入る。
通路はやや暗い。そう、暗い。
でも暗さの中にどこか優しい感覚が身体を
包み込む。それが全身に行き渡るころ、
目に入ってくるのは眩しい人工芝の緑。
ビルの中にある独特の静けさを球音が
歓声がきりさく。しかし残る都会の香り。
都会といえば、冷たいものだという相場が
あるが、ここは違う。
近い。ファンと選手の一体感。
だから熱い。
その昔、私が初めて神宮に行った時に
ファインプレーをしたタイガース佐野選手
が照れたように、手を上げた時に感じた、喜び
もそうだ。
今やメジャーリーガーの石井一久投手のおそろ
しいまでの速球に驚愕したのもそうだ。
池山選手の豪快な空振りと、暗黒時のタイガース
の選手の飛ばない打球を比べ、ため息をついた、
あの時もまたそうだ。
熱い。
肌で選手と一緒に感じることができる球場。
ゲストハウスに向かう選手への励ましと怒号と
喜びもダイレクトに感じる。
古田選手がファンと一緒に闘ったのはこの球場の
近さが彼の素地を作り上げたのかもしれない。
もう一度言う、私は神宮球場が大好きだ。

でも、でも。阪神タイガースはこの球場でも
弱い。ナゴヤドーム程でないにしてもだ。
そして今日もまた神宮には傘の舞がくりひろ
げられた。また岩村か!また土橋か!!(興奮のため
敬称略、すまん)
東都のファンの勝利の六甲おろし
は月が変わった明日聞くことができるのか。