今日の一枚「ハルモニオデオン/遊佐未森]

ハルモニオデオン

ハルモニオデオン

遊佐さんの透き通った声は秋に似合う。特にこのアルバムのオープニング
を飾る「暮れてゆく空」はちょっとケルトな哀愁のあるサウンドは私の中では
秋そのものなのだ。
で、このアルバム、この頃の遊佐さんのアルバムはファンタジーあふれる
短編小説と曲が一体となる形をとっている。この小説も欠かせない魅力である。
どのナンバーもメルヘンチックで視覚的な感じなのだが、特に私が好きなのは
「M氏の幸福」という曲。歩くようなリズムとブリッジ部分の「♪風がふくよー」の高音に
癒される。偏屈な博士の歌であるが、その博士の寂しさも楽しさを全部包みこむ
森の大きさみたいなものを感じる。ちなみにこの博士、小説中では淡く悲しい少年時代の
思い出がかかれていて、これにも感動してしまう。
ふんわりとそしてのんびりとしたファンタジーの世界に誘う「僕」が主語の中性的な
遊佐さんのボーカルと架空の楽器ハルモニオデオンとを想像の横に置き、
秋の空を眺めていたい。そんな日があってもいいだろう。