秩父路紀行

11月14日は埼玉県民の日です。だからなんだと言わずなかれ。
県内の鉄道は毎年一日券を発行しているのだ。
で、休みとかさなりましたので、秩父鉄道乗りつくしをして
来ました。
秩父鉄道というのは羽生から三峰口という、埼玉県民に
すら地域によってはあまりなじみのない地域71.7キロを走る
ローカルな鉄道。
今日は県民の日特別で1000円で全線乗り降り放題という
素晴らしいきっぷが発売されていたのだ。
今回は羽生から入る。羽生。はにゅうと読む。
ここは東武伊勢崎線との分岐点。以前は中間改札なしで秩父
鉄道にいけたが、今は駅舎も新しくなり、改札も別。
また秩父鉄道東武鉄道の両方に4番線があるという
ちょっとしたネタも。
ここにいた列車は元都営三田線の車両。

これに乗り、行田、熊谷と北部の街を過ぎていく。
熊谷近辺は駅距離も短く、都市型電車という感じもするが、
貨車も多く止まっている武川駅あたりから、秩父の香りがしてくる。
そう、セメントや鉄鉱石といった貨物輸送がまだここでは
行われているのだ。
そして遠くに見えていた山がはっきり見え始めたころにつくのが、
分岐点寄居駅。ここは池袋からくる東武東上線の終点でもあり、
八王子と高崎*1を結ぶJR八高線との乗換駅でもある。
構内はだだっぴろいが、大きい町というわけではない。
ここを過ぎるとローカル段階が一つUP。
車窓に玉淀湖=荒川の絶景が見えはじめ途中下車の虫も
うずうずしてくる。
次の波久礼駅で交換待ちが少し長く、ホームに出られれた。
木々の出すエネルギーが全身を覆い気持ちよい。

ただ、途中下車はやめることにしてさらに深く山へと切り込んでいく。
そしてついたのが、長瀞(ながとろ)。
ここは、埼玉県民には知名度のそこそこ高い観光地。平日にもかかわらず
駅周辺は観光客で賑わっていた。駅の西側には宝登山があり、東側には
ライン下りもある荒川に出られ、景勝地長瀞の石畳が楽しめる。
駅前で大きな煎餅を買いかじりつつイベントの太鼓の音をバックに
石畳方面に行き、荒川を見てのんびり*2する。
紅葉は例年より遅いのか、今ひとつとはいえ、ここの風景はやはり美しい。

さらに山側も少し散策、昔こちら側にはSLホテルがあったのだが、今は
車両の影かたちもなかった…。
再び電車に乗り、秩父方面へ歩を進める。
今度の電車は旧国鉄101系の1000系。*3モーター音も車内の雰囲気も国鉄
懐かしむには充分で、レールを刻むジョイント音に打ち震える*4
上長瀞駅を過ぎると荒川を渡る。ここもまた絶景。
国道140号線の車をも追い抜く力走を見せる電車はセメント工場などを
軽やかに通過し、秩父地方の中心秩父に向かっていく。
秩父駅では、SLパレオエクスプレスに遭遇。
こちらは県民の日のヘッドマークもつけていた*5

秩父は埼玉を代表する街の一つ。セメントであり秩父の夜祭であり。
ただ、秩父駅周辺は寂れた感じであり、人通りもほとんどない。
長瀞の賑やかさとは全く対照的だった*6
この秩父御花畑までは私は来たことは何度かあったが、ここから先は初体験。
そしてここからが、秩父鉄道の魅力あふれる地域だった。35キロ制限が
かかるS字カーブをゆっくりかつ確実に進めていく。
浦山口駅は、特に魅力があり、カーブしているホームがすごい。
そして、山を縫ったまま、終点の三峰口へと向かう。
この駅はさらに奥秩父への接続するバスがある。
駅付近にはちょっとした鉄道博物館があり、マニアにはうれしいところだ。
帰りは同じルートを急行を使って帰る。ここは200円とはいえ、全国では
数少なくなった有料急行の走る場所でもあるのだ。
ラッキーにも*7この11月いっぱいで
廃車の決まった旧国鉄165系の3000系電車。

改造はされているものの、車内は国鉄の雰囲気を残しているクロスシートやクーラー
など、「何で廃車?」というぐらいもったいない感じがする。

そして走りも急行の名に恥じない感じがした。
気軽にというには、埼玉県人でも場所によってはちと遠いがタイムスリップとローカル
感を味わうにはおすすめの路線である。

*1:倉賀野ってつっこみはいらないよ

*2:とまではいかなかったけど

*3:上の波久礼駅の写真の電車

*4:オーバーだね

*5:これはいっぱいで乗れなかった

*6:とはいえ、実質西武秩父とその最寄駅でもある次の御花畑駅の方が秩父の中心ともいえるが

*7:というか、もしかしたらと狙ってはいたのだが