餘部紀行

23日は墓参りを早々に済ませ、餘部へ向かった。
この日本海にかかる鉄骨がむき出しの橋梁の姿も
もう長くはない。

↑のような看板が出ているほどだ。
老朽化、更には海風による危険もあり、来年の春には建て替えが
行われるそうだ。
二両の気動車がこの橋をゆっくり、ゆっくりと進んでいく。
車内の乗客、そして我々撮影者へのサービスであろう、
この残り少ない空中散歩を写そうと、シャッターを切る。

立て続けに11時前の二本を下から見送ると、その後12:40ごろまで
来ない。
橋脚の真下から駅へ向かって歩く。橋の下には、86年の「みやび」
転落事故の慰霊碑がある。

安全と風光明媚な絶景いうのは相反するものでもあるのだ。
このことについては結局私はなにをも語れない。
さて、急な坂を駅へ向かって上がっていくと、写真を売っている人が
多い。これも観光客へ向けてだ。鉄道ファンのみならず、連休の
只中ということもあり、夫婦づれや子供づれの一見「テツ」には
見えない人が多い。とはいえ、この時間はまだ少なかった。
坂を上がり線路と同じ高さになったところにあるのが餘部駅

余部駅という駅が姫新線にあるせいなのか、旧字。
この駅はかなり新しい駅で、昔は歩いて餘部橋梁を渡ってトンネルを
抜けて鎧に行ったそうだ。今はちょっと度がすぎたカメラマンが
線路に入る旅に駅員の注意が入る時代だが。。
この駅、撮影の場所で有名なだけに、さらに駅の上に撮影ポイントの
ある展望場所がある。ここで1時間あまりを費やす。
12:40,48着と2本列車を見送る。これら列車で来た人も加わりかなりの
カメラマンがこの展望場所に陣取る。私だけでなく多数のお目当ては、
おそらく「はまかぜ1号」。
「出雲」もなきいま、特急はこの「はまかぜ」しか通らない。
それも過去の「まつかぜ」のような長大編成ではない。たったの5両。
しかしだ。もう老兵となっているキハ181の化粧を塗りたぐった車両も
この餘部にエンジン音を響かせ、堂々と走る姿はやはり絵になる。

写真をとっても、はぁ、と見つめなおしてしまう。
これをとった後橋の下のほうに戻ると、いつの間にか
観光バスが何台も止まっている。やはりお別れに来た人は多いのか?
今度は海側から撮影。折り返しのはまかぜ4号を撮る。

もう風は秋の風。曇りがのぞく日本海。気分も天気も晴れ晴れという
訳にはいかない、でもそれこそがこの場所であり、ひっかかりつつも
流れていくという人の一生というものにどこか一致するところがある。